利上げのFRBと利下げのエルドアン
公開日:2022年01月14日
Best AMMAを閲覧の皆様、初春のお慶びを申し上げますとともに、寒中お見舞い申し上げます。
わたしは、本公式サイトを運営するアヴァトレード・ジャパン株式会社の丹羽 広と申します。
毎日徹夜をしてくれていそうな有能で頑強なシステム開発者さんたちとのご縁に恵まれ、お蔭さまでこの度、優秀な自動売買ロジックとユーザーインターフェイスのサイトを皆さまに公開できる運びとなりました。
さて、徹夜と言えば・・・
わたしも、30年前は、毎晩とは言いませんが、週に1回か2回は徹夜をさせられていました。ここのところ、システムトラブルで世間をにぎわせている某銀行の総合企画部という、居心地の悪さこのうえない部署で雑巾がけをしていたころのことです。
たまに帰宅できたとしても、丸の内から杉並まで自腹でタクシーでした。
或る深夜の記憶。たぶん夜中の2時半くらいだったと思います。バブル崩壊(直)後の1993年の夏でしたが、そのときのタクシーの運転手さんが、
「こんな低金利じゃ景気が良くならないっすよ。やっぱり、金利が上がってこないとね。ひとの動きも戻ってこないし、わたしらも商売あがったりですわ。」
と、道中、くどくどと独自の経済理論をぶっていました。
こちらは、疲れを通り越して、寝る気力も起きない状態だったので、なぜか覚えています。
景気が過熱しそうなときに金融政策としてブレーキを掛けるのが利上げ、です。タクシーの運転手さんが宣っていたのは、原因と結果が逆のように思えます。
しかし、
このタクシーの運転手さんの言う通りのこと、つまり逆さまな経済理論を実際にやっている独裁者がいます。
トルコの大統領エルドアン氏こそ、そのひとです。
利下げに反対する中央銀行幹部を首にしたり、
通貨防衛(トルコリラのさらなる暴落を防ぐこと)のためには利下げしかないというトンデモ発言でトルコリラ暴落を加速させたり、
さらには、トルコリラ暴落で損をしたひとに財政で補填すると言ったり(わたしには、誰にどうやって補填するのか、寡聞にしていまだ知りません)。
これに比べれば、今週、FRB議長として再任されるための米国議会での承認是非を問う質疑応答の矢面に立ったパウエル氏の、昨年年末のタカ派転向は、米国を襲う急速なインフレにも鑑みれば、教科書通りの妥当なガイダンスに見えます。
ところで、
教科書通り、などと書きましたが、
わたしたちは、小学校、中学校、高校の社会科で、かなり嘘ばっかり教わってきたと思いませんか???
やれ、日米安保条約は、戦争放棄をした日本を代わりに米国がタダで守ってくれる思いやりの条約である(筆者小学校5年生のときの教科書・・・思いやりとは「思いやり予算」のそれとは意味=方向が違います)。
第二次世界大戦は、民主主義国家を中心とする連合国の、全体主義国家を中心とする枢軸国に対する勝利(筆者中学生のときの文●堂という出版社の参考書)
資本主義経済ではインフレは起きやすい(または恒常的にインフレである)がデフレは滅多におきない。これを価格の下方硬直性という(高校のときの政治経済の教科書。ほかに、(例えばビールなどの)寡占市場においてはシェアトップの会社に価格決定権がある。これをプライスリーダーと呼ぶ、というのがありました。)
嘘を素直に信じ込んで試験でよい点数をとっても、社会に出てからはたいして役に立ちません。
そのなかで、珍しく、ほぼ死語だったのに、いまこのコロナ禍のインフレで使えそうな考え方の枠組みがあります。
それは、
インフレには、
デマンド・プル・インフレと
コスト・プッシュ・インフレとが、ある
というものです。
1974年ころ日本を襲った石油ショックや、今日米国だけでなく世界の多くの国々の経済に影響を与えているサプライチェーン寸断がもたらしているのは、100%そうだとは言い切れないものの、コスト・プッシュ型です。
極端に言うと、インフレなのに景気はよくないというスタグフレーションに限りなく近いと言ってよいと思われます。
このような状況においては、金融政策は、もはや引き締めしか選択肢がない、というのは過去の経験から明らかなので、FRB内もいまやタカ派で一枚岩状態になってしまっているわけです。
さて、問題はここから。
金融引き締めが正しい政策だから、米株高、米ドル高もまた当然。
これでよいのでしょうか???
わたしは、FX投資にはファンダメンタルズは考慮すべきではない、むしろ意識的に排除すべきだと考えているので、自分や信頼できる他人にロジックを組み立ててもらって済々粛々とチャート分析に則って売買を繰り返すのが成功確率を上げる道だという考え方を持っています。
なので、経済のファンダメンタルズをこのように分析して、このドル高はちょっと納得いかないぞ、などとつぶやいてみても、ほとんどなんの意味もないのですが。。。
それでもやはり、インダストリーというか、実物経済に限って言えば、オミクロン株で、工場の稼働率の低下や働きたくても働けない労働者、雇いたくても雇えない資本家があふれるという進退窮まった状況がもたらされてきていることで、米国の比較優位は危うくなっていると感じざるを得ません。
実物経済や経常収支だけが外国為替を決定するわけではないことを百も承知のうえでのつぶやきです。
ではそれ以外の要因はどうなのか?そもそもオミクロン株<新型コロナウィルス感染症はどうなっていくのか?ワクチンは?経口薬は?ロックダウン>緊急事態宣言>まん防は?
もう2000文字を軽く超えてしまったので、またの機会とさせていただきます。
投稿者:丹羽 広
最終更新日:2022年01月16日